取引相手の資力に疑問がある場合は、債務の履行を確実にするための方策を考える必要があります。債権譲渡も資力の弱い取引先との契約で、背負うリスクを軽減する方法の一つになります。特に譲渡対象になる債権の債務者が潤沢な資金力を持っていれば、債務不履行になる心配はないと考えることが出来ます。定められている支払期日の到来を待って債務の履行を受けるだけになるので、不安要素のある債権が優良化すると言えます。
しかし、債権譲渡を利用する際には、確認しておくべきことがいくつかあるので注意が必要です。先ずは対象になる債権が、他に譲渡されていないことを確認しなければいけません。二重譲渡の関係になっていると、先に譲渡を受けた方が有効になってしまう可能性が高くなります。必ず他に譲渡されていないことを確認したのち、他の人に自らが譲渡を受けた譲受人であることを主張出来るようにしておくことが大切です。
更に、債権譲渡を受ける債権に譲渡禁止特約が付されていないことも確認しておかなければいけません。譲渡禁止特約が付いていると、債権譲渡を受けたことを譲渡債権の債務者に主張することが出来ません。つまり、譲渡債権の譲受人として債務者に対して、債務の履行を請求することが出来なくなってしまうということです。債務の履行を受けることが出来なければ何の意味もありませんので、債権譲渡契約を締結する際には必ず特約事項に目を通して、譲渡禁止特約が含まれていないことの確認が求められます。